秘密の記憶は恋の契約
(私から誘ったわけだし・・・『泊まっていく?』とか、私から聞いたほうがいいのかな・・・)


綾部くんは、何を考えているんだろう。

ここに来たときは甘い感じだったのに・・・いまこそ、なにか言ってくれればいいのにな。

そんなことを考えていると、彼は手を口に当てて、突然「くくく」と笑い出した。


(むっ・・・。この笑い方・・・)


「・・・何?」

「いや・・・。ずいぶん緊張してるから」

「はっ!?し・・・してないし!」

「してるだろ。さっきからずっと落ち着かねーじゃん」

「そ、そんなことないよ!」

「ふーん・・・。ほんとに?オレが手え出すのでも、待ってるのかなって思ったけど」


(!?)


綾部くんがにやりと笑う。

私は瞬時に顔が火照って、持っていたカップをソーサーの上にガチャン!と音を立てて置いた。

「ち、違うからっ・・・!!」

恥ずかしさと、気持ちを見抜かれた悔しさで、私はプイッと横を向く。

余裕でからかう彼の態度に、私はとても泣きたくなった。

「・・・怒んなよ」

「怒るよ!綾部くん、そうやっていつもからかうんだから!」
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