秘密の記憶は恋の契約
(な、ななな・・・!)


「鈍感って!単純って!そのうち好きになるってなんなの!!綾部くん自信過剰だし!しかも私、そんな簡単に人を好きになったりしないから!!」

単純で軽い女。

そう思われているような気がして、私は一糸纏わぬ姿を忘れ、がばっと腰から上を起こした。

すると彼は軽く笑って、私を包み込むようにはだけた背中に毛布をかけた。

「軽薄だとか、そういう意味で言ったんじゃない。

元々仲はよかっただろ。だから、嫌われてないって自信はあった。

その前提ありきで・・・あの日、あんな状況で起きただろ?

どんなに鈍感な美咲でも、さすがにオレを意識するって思った。そしたら後は攻めるだけだ。

オレはルックスいいのも自覚してるし、オレからぐいぐい押してけば、単純なおまえはすぐにその気になるかなって」

「・・・!」


(・・・く、くっそーう!悔しい・・・!!悔しすぎる!!)


まさに彼の思うツボ。

説明を聞きながら、私は心の中で地団駄を踏んだ。

「・・・でもな」

突然、彼の声音が低く変わった。

はっとして彼を見つめると、綾部くんはとても硬い表情だった。

「だからだな。山崎さんといい感じだって聞いたときは、正直本気で焦ったよ」

「え?」
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