秘密の記憶は恋の契約
「だから・・・ちょっと意地悪してやろうって思ったんだよ。

あの状態で起きたおまえが、記憶がない時のことを気にしてるのはわかってたから。

『オレのこと好きになるまで教えない』って。

悔しいからな、条件付けた」

綾部くんが、照れ隠しのようにフン、と小さく鼻を鳴らした。

私は「ごめんね」と言って、彼に再び謝罪した。


(そうだったんだ・・・。確かにそういう状況なら、綾部くん、すごいショックだったよね・・・)


反省の気持ちを表すように、私は彼の胸に触れた。

すると彼はにやりと笑って、私の手首をがしっとつかんだ。

「まあ・・・最初はそういう理由で、おまえを付き合わせたわけだけど。

言ったと思うけど・・・とりあえず付き合ってくれれば、美咲はオレを好きになるって、ほぼ確実な自信があったな」

「・・・はっ!?」


(やっぱムカつく・・・!)


「鈍感だけど、おまえ恐ろしく単純だろ。

一度オレを意識し始めたら、絶対そのうち好きになるって、オレは確信してたから」
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