秘密の記憶は恋の契約
「かわいかったしおもしろかったね」

「そうだな。あんま期待してなかったけど。あれはあれで楽しい気がする」

いくつかの乗り物に乗った後、私たちは、たくさんのクマが踊り歌う、シアターショーを観に行った。

最初、綾部くんはあまり乗り気じゃなかったけれど、見終わってみればどうやら満足したらしい。

「このあとどうする?もう1時過ぎだけど。そろそろ昼飯でも食うか」

「うん、そうだね!お腹空いたし」

手をつなぎ、「ここに行こう」と決めていたレストランに向かって歩いていると、綾部くんは突然「おっ」と言って立ち止まる。

彼の視線の先にあるのは、クリスマスグッズの並んだかわいらしいワゴンショップだ。

なんとなく、いやな予感。

「耳売ってるぞ。つけるなら買ってやる」


(・・・それか・・・)


ネズミの丸い黒い耳。

綾部くんはにやりと笑うと「どうだ」とそれを指さした。

「・・・いい」

「なんでだよ」

「つけた途端、『マジでつけた!』とか言って、大笑いされるパターンでしょ」

恋人としては、まだまだ歴史が浅いけど。

彼の行動パターンは、だいたい把握できてきた。

私だって、そうそう何度も引っかからない。

「しねーよ。絶対似合うって。つけろ」

「・・・やだ」

場所が場所だけに、抵抗感は薄いけど。

彼の反応を想像すると、やっぱりあまりつけたくはない。
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