秘密の記憶は恋の契約
「なに?つけたいけど恥ずかしいとか、そういうへんな見栄っ張りか。

ほら、あそこのオッサンたちを見ろ。めちゃくちゃノリノリでつけてんじゃねえか」

「・・・」


(う、うーん・・・。さすがにあれはどうだろう・・・)


彼がクイッと顎を動かす。

その示された先を見ると、50代くらいの男性二人組がいた。

一体どういう仲なのか、二人揃って黒いネズミの丸耳を、頭の上に着けている。


(な、なんかのバツゲームとか・・・)


むしろ、そうであって欲しい。

正常な思考であの状態は、なんだかちょっと心配だ。


(オジサンたちは楽しそうだけど・・・)


「やっぱり・・・私はいい」

あの男性たちと同じ耳。

さらにつける気を失った私は、この場を離れるように、そそくさと足を踏み出そうとした。

けれど。

「まあ待て」

綾部くんが、私の腕をがしっとつかんだ。

「これならいいだろ」

白いポンポンのついたサンタ帽。

彼は私の返事を聞くこともなく、「これ下さい」とそれを購入。

店員のお姉さんからサンタ帽を受け取ると、早速私にそれをかぶせた。

「!?ちょっ・・・!かぶるとか言ってないけど!」

「いや。すげえかわいいって。やっぱ似合う」

私の顔を覗き込み、満足そうに彼が言う。
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