黄昏と嘘
「用事?
食堂でご飯食べることが?
最近、私から逃げてるって態度でバレバレだよ?」
カノコは明らかに疑い深い目でチサトを見る。
チサトは顔を上げることができず、その彼女の表情を確認することができなかったが、声のトーンから疑っているというのは明かだ。
「・・・えっと、用事は・・・LL教室へ行って映画のDVD借りてこようかなと思って」
わざとらしくなんでもない素振りをしてチサトはランチについてた最後のおかずの玉子焼きを口に放り込む。
その言い訳はあながち、嘘ではなかったが。
チサトはアキラの弾いていたあのフレデリック・ショパンの曲が使われていた映画がどうしても知りたくてずっとネットや本で調べていた。
そして先日ようやくその映画のタイトルを探し当てその映画を借りようと思っていた。
DVDは図書館とLL教室で貸し出ししているが、彼女が目的としているDVDはおそらく図書館よりもLL教室で貸し出している可能性のほうが高いと思い、そしてそこでDVDの中から探そうと思っていたのだ。
「へー?
図書館にあるDVDならまだしもLL教室にあるものって字幕がないんじゃないの?
チサト、そんなのわかんの?」
カノコはチサトの意外な答えにへえ、と感心したように言った。