黄昏と嘘

一生懸命アキラは良い人だから、と前置きをして話すチサトをカノコはずっと黙って聞いていたがアキラと暮らしてると言った途端、案の定、かなり驚いた顔をした。
でもそれはチサトが思ってた通りの反応だ。

そしてその後に言われる言葉がわかっていたから言うか言うまいか、それともどうせ言うことになるのならちゃんとまとまってから言おうと黙っていたのだ。

途中、口を挟むことなく一通りチサトの話を聞いてカノコはひとつ、ため息ついて言った。

「夏休みまで住むところがないって大騒ぎしてたけど最近何も言わなくなって・・・。
なんとなく気にはなってたけど私から逃げてたことも含めて結局、そういうことだったんだ」

なんだか針の筵のようだ、とチサトは思った。
彼女に何をどう伝えてもくだらない言い訳になりそうでチサトは黙ったままだった。
そんないつまでも黙っているチサトにカノコは続けた。

「でもどうして?
今からでも解消できないの?
止めときなよ?」

ああ、やっぱり予想通りの反応。
でも先生はそんな、みんなが思うほど酷い先生じゃないんだよ?
こないだだって私を慰めてくれたり、謝ってくれたり・・・。

チサトはあの夜のことを思い出していた。
アキラの本当が少し垣間見えたような、そう思えた出来事。

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