黄昏と嘘
「違うんだよ・・・、ホントは・・・たぶん・・・」
でもそこまで言いかけて言葉を止める。
先日のことはなんとなくあのLL教室での出来事と繋がっているような気がしたのだ。
あのことは彼が彼女に誰にも言わないようにと言われたこと。
「たぶん、なによ?」
カノコのその言葉の後に言いたかったのは「先生はきっと、やさしいひと」という言葉だったが、でもチサトは黙ったまま首を左右に振るだけだった。
「ね?あとで泣くのはアンタなんだよ?
住むとこないんだったら実家に帰れとか言わないから、しばらく私のところでも・・・」
そこまで言ってくれるカノコだったがチサトはあの夜以来、アキラと一緒にいて初めの頃ほど淋しい思いはしていない。
その後、急に話をするようになったとか彼の帰りが早くなったとかそういうことは一切なく、以前と同じ、いるのかいないのかわからないようなそんな同居状態だったが、それでもチサトは満足していた。
「・・・ありがとう。
でも大丈夫だから。
じゃLL教室行ってくるね」
そう言ってチサトは財布から食堂のプリペイドカードを取り出しながら再び立ち上がる。
カノコは少しむすっとしたまま、黙って彼女を見ていた。
それは納得できない、そういう表情のようにも感じ取れた。