黄昏と嘘
「?・・・チサト、なんか落ちたよ?」
チサトがカードを取り出そうとした時、彼女の財布から違うカードらしきものが落ちたようでカノコがそれを拾い、チサトに差し出す。
「あれ・・・?
このカード、チサト、アンタ喫煙家だっけ?」
彼女が拾い上げたのは自販機でタバコを購入するためのカードだった。
チサトは慌ててカノコから奪い取るようにしてそのカードを取ってGパンのポケットに乱暴に突っ込む。
「あ、うん、ちょっとね・・・」
実はそのカード、アキラのためにとチサトが自分で自分用に作ったものだった。
少しでも彼の役に立ちたいと思ったからだ。
でもカノコはさっきよりもむすっとする。
きっとチサトを心配するあまり、からなのだろうけれど。
チサトはそんなカノコの表情の変化に気づいてはいたけれどそのまま知らん顔をする。
「またね」
逃げるようにその場から離れる。
カノコのチサトを引き止める声がしたが彼女は聞えないフリしてそのまま食堂を出た。
そして必死になって走り続けた。
それはまるで今までの全部、何も考えないように、余計なこと思わないように、そして消えてしまえばいいのに、そんな思いで。
でもそんななって走ったところで逃げることも消すこともできない。