黄昏と嘘

どんな姿も絵になるくらいにキレイなひとだ。


チサトはそんなアキラの姿を見つめて思う。

「じゃ・・・、私が小野さんとか、アキラさんって呼んでもいいんですか?」

アキラを見つめ、思わず出た言葉。
自分で言っておいてびっくりしてしまう。

いくらなんでもこれは言いすぎだろう。
アキラに見惚れてしまうとどうしてか、つい、余計なことを言ってしまう。


怒られる・・・!


こんなこと、アキラのような冷たい人間だと周りから言われていない人間でも普通に怒ってしまうだろう。
学生が准教授に向かって言うのだから。


しかしアキラは怒ることもせず、タバコをくわえたまま、ノートパソコンの電源を切った。
そして彼はどうしてか、そんなことを言われても苛つくこともなかった。
本来なら、きっとものずごい形相で彼女のことを睨みつけていたかもしれないのに、でも彼は彼女を試すような口ぶりで答えた。

でもそれは決してチサトを窘めようとした、という思いもなく、彼自身でも理解はできなかった。
ただ、心の片隅で彼女との会話を楽しんでいるかもしれない、そんな彼がいたのは事実だった。

「・・・僕は名前で呼んでもらったっていっこうに構わない」




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