黄昏と嘘
「小野先生の力ですかねえ・・・」
そう言われてチサトは余計に焦る。
名前をちょっと聞くだけでこんな状態になるなんて、自分でもかなり重症かもしれないと思った。
しかし頭に腕を組んでカノコは言葉を続ける。
「でもさ・・・小野先生って・・・」
何か言いたげなカノコだったが、なんとなくいい言葉ではないことをチサトは直感した。
止めたほうがいい、きっとそう言うのだろう。
聞きたくない、そう思ってチサトはカノコの言葉を遮り、話を逸らす。
「あ。あの服、あの服の方が色、可愛くない?」
そのあとに続く少しの沈黙。
カノコが答えないということは服の話をしたいのではなく、彼女はアキラのことを気にしてチサトにちゃんとそのことについて話をしたいということなのだろう。
しかしチサト的には、誰になんと言われようと自分の想いを変える、など全くなかった。
だいたいひとのそんな恋愛感情なんて理性で動くわけもない。
「ごめん、カノコ。
私今日、寄るところがあるからここでバイバイね」
チサトは今日、アキラと約束していることをカノコには話していなかった。
それでもカノコはまだチサトに何か言いたそうだったが彼女は時間がないから、とどうにか断ってカノコと別れようとする。