黄昏と嘘

う・・・。
何?これ?
英語・・・じゃなくて・・・。
フランス語・・・?

もらったメニューの内容はすべてフランス語で書かれているようだった。
どのページを見ても日本語なんてどこにも書いてはいない。

でもチサトとしてもここでわからない、などと言うのもかっこ悪いし、それよりもし、この店がアキラの行きつけだとしたら、わからないと言うことで彼に恥を書かせてしまうかもしれない、そう思った。

だんだんと居心地が悪くなり、チサトはメニューで顔を隠すようにして表情を見られないようにする。

飲み物って・・・どこに書いてるの?
写真からしてこの欄かな・・・?
でもこれって何て読んだらいいの?

給仕がずっと横に立っている、という状態も彼女の緊張感を一層大きくする。

いつまでもこうやってメニューを見ていたってわからないものはわからない。

やっぱり先生が来るまで待って注文は断ったほうがいいかもしれない。

「あ、あのっ・・・」

チサトが顔を隠していたメニューをパタンと閉じて、給仕に向いてオーダーを断ろうとしたとき、聞き慣れた声が聞えた。

< 211 / 315 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop