黄昏と嘘
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もう、どれくらい歩いたのだんだろう。
今、何時なんだろう。
「さすがに足がだるくなってきた・・・。
駅4つはナメてたな」
チサトは苦笑しながらそう独り言をつぶやき、腕時計を見る。
時計の針は22時近くを差していた。
ということは軽く2時間は歩いている、ということになる。
アキラに余計なことを言った罰なのかもしれない、そう思いながら今度は夜空を見上げる。
見上げて見える光はビルの光なのか星の光なのかわからない。
そういえば。
先生に助けてもらったあの夜もそんなこと思ってたっけ・・・。
あのときは夏の終わりだったけれど。
今は薄ら寒いせいかあの時よりも心細く感じる。
でもそれは気温だけでなくさっきのアキラとのやりとりのせいもあったかもしれない。
あれ・・・。星どころか・・・雨・・・?
見上げた顔に空から雫が落ちるのを感じた。
たぶん、さっき見えていた光も星ではなくビルの光だったのだろう。
そしてまたひとつ、額に一粒。
やがて一瞬のうちにその雫は雨となり周りの景色をにじませはじめる。
本格的に雨が降り始めたようだ。
「あーっ!もうっ!どこまでついてないんだろっ!」
思わずチサトは両手を頭に当てて、少しでも濡れないようにするが雨は容赦なく彼女を濡らしてゆく。
チサトはとりあえずどこか雨宿りできそうなところを探しながら走り出す。