黄昏と嘘

そしてアキラは電話を切ったあと、チサトの方を向いて言った。

「キミの財布はさっきの店に忘れものとして預かられているそうだ。
今からじゃ、店も閉店してもう間に合わないないだろうから・・・。
明日にでも取りに行きなさい」

あの時、慌ててカバンを持ってアキラを追いかけたせいだろうか、財布を落としたことに気付かなかったのだろう。
チサトは目が点になる。

「全く・・・キミは・・・」

そう左右に首を振りながら呆れながら言うアキラにチサトは情けなく

「・・・スミマセン」

そう謝るだけだった。


「さあ、もういいから車に乗りなさい」


先生の車に?
私が?
・・・ああ、そっか。一緒に帰るんだ。
今更だけど、嬉しい。
一緒に外食できなくったって、こうして同じ時間を過ごすだけでじゅうぶんに嬉しい。

そして車の方へ歩きながら、チサトはふと思った。
くだらないことかもしらないが自分は後部座席を案内されるのか、それとも助手席を案内されるのか。

アキラの隣にいたいけれど自分から助手席に乗り込むのもなんだか躊躇してしまう。
どうしようかと車の後ろまで来たとき、迷い、足を止める。

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