黄昏と嘘

車がゆっくりと走り出す。
チサトは外の流れる景色を見つめながら、歩いて帰る必要がなくなった安心感からか急に自分が空腹だったことを思い出した。

そう思ったら途端に。

ぐるる、と妙な音を立ててチサトの腹の虫が鳴いてしまう。
彼女は恥ずかしさで顔が真っ赤になる。

「あっ、す、すみません・・・っ・・・私・・・!」

そう言うと同時にアキラが笑い出す。

「あっと・・・その、これは、別にお腹が空いたとかそんな・・・」

「どこか・・・食べに行くか?」

しどろもどろになって言い訳をするチサトにアキラはくすくすと笑いながら言う。

「あ・・・はい・・・そうしたい、です・・・」

「そうだな、でも、今からじゃ、もう時間もないから・・・」

そう言いながら車を少し走らせ、思い出したように道を変えた。

アキラが彼女を連れて行ったのは屋台のラーメン屋だった。
そして彼は屋台近くのパーキングメータで車を止める。









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