黄昏と嘘
「・・・いえ、なんでもないです。
えっと、久しぶりだから・・・、その、なんか、急に、緊張しちゃって・・・」
しどろもどろになって言いながら、もっとマシな言い訳が思いつかないのだろうかと自分が嫌になる。
「そう?
そんな緊張するような間柄でもないのに。
相変わらず、チサトちゃんは楽しいわね」
「あはは・・・、そうですか?
えっと、それより石田さん、今日はどうして・・・」
「うん、それなんだけどね、急に電話させてもらったのは前の職場の同僚の結婚式に出るから昨日から上京してるの。
だからチサトちゃんにも会いたいなあと思ってね」
そういうことならチサトもモモカに会いたいと思う。
チサトはそれまでベッドの布団に包まって話をしていたけれどガバっと起き上がる。
「うわ・・・ホントですか?
私も会いたいです」
「そう?嬉しいな。
じゃあ、ちょっといきなりで悪いんだけど・・・」
そう言いながらモモカは上京してもそんなに時間がないのか、今日、会わないかと提案してきた。
「え?今日?」
チサトは驚きながらも、今日は授業も休講になり、特に用事もなかったから彼女はモモカと会う約束をした。
今日、会わなかったら次はいつ会えるのかわからない。