黄昏と嘘


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モモカと約束した池袋東口にあるファッションビルの中のカフェ。
大きな窓からは下の通りをたくさんのひとが歩くのが見える。

電車の乗り継ぎがよすぎたせいでチサトは先に到着し、オレンジジュースをとりあえず注文して、スマホをいじりながらぼんやりとモモカがやって来るのを待つ。


もうちょっとゆっくり出てくればよかったかな。
石田さんが来るまでどうしようか。


チサトはカバンを何気なく手に取る。
そういえば来るとき、やたらとカバンが重かったことを思い出した。
おそらく急いで中身をそう確かめず出てきたので不要なものを持ってきたかもしれない。

彼女がカバンの中を探ると案の定、どう考えてもモモカに会うのには不要なものが出てきた。
ペンケース、ファイル、ノート、教科書・・・。


「なによ、これ。学校行くそのままの状態じゃないの」

思わず独り言をつぶやいてしまう。
そしてその中のひとつのクリアファイルに気づいた。
それはいつも持ち歩いているアキラの授業の資料だった。

以前の授業で配られたそのプリントはパソコンで打たれた文章があり、その横に付け足すように彼の肉筆での文字が書かれている。
チサトはその資料を取り出して書かれた文字を指でたどってみる。


先生と、ずっと、一緒に、いられたら、いいな。

・・・なんてね。

でももうすぐ3ヶ月だからそれは無理。



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