黄昏と嘘
でも、それなのに、チサトはモモカのその話をどうしても聞きたいという衝動にかられてしまう。
「・・・あの・・・、どうして・・・、どうして先生は変わったんですか・・・?」
言った瞬間、しまった、と思ったが、そのときちょうど、店員がやってきて、モモカの注文を聞いた。
チサトはモモカと店員のやりとりとぼんやりとながめながらこのまま話をそらせて終わらせて別の話をしなければいけないのだと自分を思い込ませようとした。
でも。
「・・・チサトちゃん?」
「えっ、あ、はい。
それで・・・さっきの、先生の・・・」
ああ、私、何言ってるんだろう。
聞いちゃいけないのに。
「ああ、そう、小野先輩の話だっけ、えーっとね、・・・」
止めるのなら今のうち、そう思っているのにチサトから言葉が続かない。
もう手で拳をつくって胸に当てて、できるだけ落ち着かせようとするだけで精一杯だった。
「彼が変わったのは・・・結婚してから・・・かな。
まだ大学の講師、助手のころって将来も収入も安定してないでしょ?
そんな中での結婚だったから多分、彼の中にも焦りがあったのかもしれないわね・・・」
黙っているチサトにモモカは天井を見上げながら思い出すように話し始めた。