黄昏と嘘
リョウコはその言葉にガーベラがある部屋を想像する。
店員の言うとおり、暗い部屋が明るくなるような、そんな感じがした。
買って帰ろうか、そう思ったけれどきっとこういうものに興味のないアキラは花には不快な顔をするのではないかと躊躇った。
「でも・・・」
「貴女、お花はお嫌・・・」
店員は意外そうな表情を見せ途中まで言葉を続けたものの、「ああ」と彼女の左手の薬指を見る。
リョウコの左手薬指にある、プラチナリングが太陽の光に反射してキラリ、と光る。
「ああ、もしかしてご主人が興味ないとか?」
「え・・・」
「ふふ、男のひとってそういうところありますよね?
でも1輪でも飾ったら部屋に魔法がかかったみたいに明るくなってこころも穏やかになれるから。
あ、そうだ。ちょっと待ってて?」
そう言いながら彼女はリョウコが眺めていたバケツにあったピンクとオレンジのガーベラを2本抜き取り、店の奥に入る。
そして少しして透明のセロファンで包まれたさっきのガーベラ持って戻り、それを彼女に渡す。
「よかったらどうぞ?
私からのプレゼント、きっとこれで部屋が華やぐから」
店員はそう言いながら彼女に押しつけるように花を渡す。
「いいんですか・・・?」
店員は大きくうなずいて応える。
「あ・・・ありがとうございます」
突然のプレゼントにリョウコは少し驚いたけれど、可愛い色の花を見て、満面の笑みで答える。
そして軽く会釈をして、店を出た。