黄昏と嘘

花屋を出てガーベラを時々見つめながらの帰り道、本当に彼女の言うとおりで、いつの間にかこころが穏やかになっているみたいだ、そう思った。


結婚して数ヶ月だというのにふたりでゆっくり、のんびりと過ごしたことがほとんどない。
いつもアキラは忙しく、すれ違い状態の生活が続いていた。

この花を飾ることで少しでも穏やかになれたらいいのに。
以前のころのふたりのようにまた過ごせれば・・・。

決して裕福とはいえなかったけれど、社宅に住み、ふたり一緒ならそれだけでよかった。

よかったのに。

でもアキラは付き合っていた頃から忙しく、結婚して余計に毎日、忙しく過ごし、だんだんとふたり一緒の時間が減っていった。
結婚すれば一緒に暮らすわけだし、付き合っている頃よりもすれ違いも減るのでは、と期待していたがそういうことはなかった。逆に一緒に過ごす時間が少なくなったようにも感じてしまう。

彼が彼女のためにいろんなことを犠牲にし、だから彼が忙しいということはわかっているし、わからなければならないとリョウコも思っていた。

でもそれはリョウコが望むものではなかった。


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