黄昏と嘘
彼女のために自分を犠牲にし、疲れているのにそこへリョウコが話そうとすることは彼にとってくだらなくないだろうか、疲れさせてしまわないだろうか。
そう思うとつい口をつぐんでしまうのだ。
それでも今日、花をもらったことで彼女の心は少し明るくなった、だからそれを伝えて彼にも少しでも明るい気持ちになってもらえたら・・・、と彼女がおそるおそる、花をもらった経緯を話そうとしたとき。
「あの、花はね・・・」
「僕が一体だれのために、頑張ってると思ってるんだ?
少しでもリョウコに生活に対し、不安を感じさせたくないから、そしてこの先のふたりのために、なのにそんな花なんて・・・」
「違うの、買ったんじゃないわ、少しでもこの部屋が・・・」
「僕は花なんて望んではいない・・・」
でも、私は、花を望んでいたわ。
リョウコは彼の言葉に傷つき、思わずそう出そうになった言葉をぐっと飲み込み、それでも無理して笑おうとする。
そしてアキラもまたそんな彼女に気づいたから、言葉を止めた。
「・・・ごめん、もういいよ。
明日も早いからシャワー浴びて寝るよ。
だからリョウコももう先に寝てて構わないから」
そう言い残し、アキラは彼女を置いて浴室へと向かった。
リョウコはただそんな彼の背中を寂しく見つめるしかなかった。