黄昏と嘘

経済的に花を買う余裕がない、というわけでもなく、アキラにしてもそんな、たかが花でそこまで彼女に嫌な言い方などしたくなかった。

ただ、ふたりの生活のためによかれと毎日やっていることも日々、体力的にも精神的にも追い込まれ始めていたのは事実だった。

でも弱みなど見せて彼女に心配させたくない、そんな虚勢からつい冷たい言い方になってしまったのだ。


それからほどなく、アキラは家で一番、長く過ごすのはリョウコだからと、でも彼女はそこまでしなくてもいいからと言ったのに、彼は彼女のために無理してマンションを購入した。


そしてそれを機会にますますふたりはすれ違っていった。



(どうして僕をわかってくれない?)
(違う、私の望んでいるものはこんなものじゃない)


いつの間にか、アキラから、リョウコから、笑顔が消えた。














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