黄昏と嘘

・・・きれいな暮れ。

ピアノとアキラとチサトの影だけ長く。

ピアノの音色が流れいてるはずなのに、静かな沈黙を感じる。


夕陽の中、まるでふたりぼっちみたい。
この世にふたりだけみたい。
先生も・・・そう思ってくれてたら・・・嬉しいな。
なんてね。

それはアキラも思っていた。

「なんだか、この世にふたりだけになったみたいだな・・・」

沈黙を破り、そうぽつりと言ったアキラは自分の言葉に驚き、手を止めてはっとする。
ぼんやりしていたせいか、思っていたことをそのまま言葉にしてしまった。

何を言っているのか、これではまるで・・・。


そしてチサトは自分と同じ事を思っていた彼に胸が苦しくなる。
アキラはさっきの言葉を打ち消すように鍵盤に指を置いてピアノを弾き始める。


先生もそう思ってくれて・・・。


彼のその言葉にチサトはアキラの考えていることが、想っていることが、知りたいと思ったが、ふいにまたモモカの話を思い出してしまい、躊躇する。

先生が困ること、悲しむことは聞かない、そう決めたのに聞いてしまった。
なのに今、聞いてしまった今もまたもっと知りたいと思っている自分がいる。
怖いけれど聞きたい自分がいる。

怖くて聞けない、しかし、それでも。


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