黄昏と嘘

ホームの時計を見上げるとまだ出発には時間があるようだったけれど、アキラがここにいるとすれば話は別だ。
そう思ったら時間がかかっても早くここから離れるために指定席を取った特急には乗らないで帰ろうかと彼女は考える。

すると雑踏の中からまたさっきの男性の声が大きな聞こえた。

「そのへんに隠れてる日ノ岡っ!聞えるか!」

聞こえた声にチサトの心臓がどきん、と鳴る。
少しでも落ち着くためにそっと胸に手を当てる。

日ノ岡?
今、日ノ岡って言った?
私の名前を呼んでくれた?

・・・って、違う、そんなことじゃない!

どうして?
どうして先生がここにいるの?

チサトは頭の中が混乱したままそっとアキラを見つめているとアキラはホームで電車の到着案内をする駅員に近づいて行き、何かを話しかけ、困った表情をしているその駅員から持っているマイクを取り上げた。

「日ノ岡っ!」

チサト隠れている売店近くのスピーカーからアキラの声が聞こえ、思わず頭上を見る。

「一度しか言わないからよく聞けっ!僕は・・・キミが好きだ!」

チサトはスピーカから聞こえるてくアキラの言葉に頭が混乱し、それでも鼓動が高鳴り真っ赤になる。
駅にいるたくさんの人たちもびっくりしてスピーカーを見上げたりアキラを見たり、驚く人、笑う人たちもいる。

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