黄昏と嘘
「えっと……先生……ありがとうございます。
先生のこと、みんな冷たいって言ってるけど本当はいい人なんですね?」
チサトは頭の中が混乱しながらも、今度は助けてくれたお礼を言う。
「なぜ、そんな事を言う?」
無表情だったアキラだったが少しチサトを睨みつけるように視線を向けた。
なにかマズいこと言ってしまったのだろうか、チサトはさっきの言葉を頭の中でもう一度繰り返してみるけれどわからない。
「あの、」
「いい人ってどういう意味だ?」
どういう意味って、それはそのまま私をこうして助けてくれたし、こんなことがなかったとしても先生は悪いひとじゃない、それはわかるから……。
でもチサトはなんて答えればいいのかわからなかった。
少しでも雰囲気を軽くしたいと思っていたからただ最初の笑顔を崩すことはしなかった。
「だってさっき、私のこと、助けてくれたし……、それに先生は……」
チサトがまだ言葉を言い終わらないうちにアキラは言った。
「いい人なんて二度と言うな。
だいたいあの学生はよく学生課からも呼び出されていたし、教職員の間でもよく話題にもなっていた。
それに事件にでもなったら大学側の恥だからな」
アキラは「いい人」と言われたことにかなりの怒りを覚え、チサトに冷たく言い放つ。