スキとかキライとか。



「いってぇ……。本気で殴りやがったなー」


蓮斗さんは口を尖らせて、自分の真っ赤になった頬を撫でた。


「ッく……蓮斗、さん」

「あーッと…まだいたの?」


蓮斗さんは冷めた目で長谷川さんを望月さん同様に見下した。


「……演技でしょ?みーちゃんいらないって言ったの」

「何言ってんの、美紀」


あの真面目で清楚な高嶺の花の長谷川さんが……“みーちゃん”

意外ってか、ビックリ。

長谷川さんの演技と一人称がみーちゃんってことに。

「美紀ぃ?みーちゃんって呼んでよー?いつもみたいに」

「わりぃ。別れたいんだけど」

「望月さんを追い払うための演技でしょ?分かってるよー」

「美紀……、別れて」


長谷川さんは蓮斗さんの話に聞く耳を全く持たない。
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