鬼呼びの花嫁



力が抜けてく。
足が震えて立っていられない。


「…誰か、…助けて」

声が割れて叫べない。
喉の奥に張り付いたまま声が出ない。


『あんた、死ぬぜ』

黄金色に染まって覗き込んだ桜木くんの言葉を思い出した。


わたし―――殺されちゃうの?



「…誰か……助けて」


必死で目の前の鬼の腕を掴んだ。
途端に、指先が熱くなる。
火傷しそうなほどに焼けて。


ガチャーン
バリバリ

ガラスが割れ散る音。
ドアをぶち破る音。
壁に穴が空いて何かが飛び込んできて、わたしの肩にくい込んでいたものが引き抜かれた。


「つばきさん、大丈夫ですかっ!」

ぐらっ、

力が抜けてそのまま前のめりに倒れそうになって誰かに抱きとめられた。


「ちっ、俺かよ」


霞んできた目に映ったのは黄金色した目をした桜木くん。
一緒に覗き込んでいたのは、柊くんだった。


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