願う場所、望む奇跡
「お母さんはそうかもしれないけど、私は付き合って間もないから。そんなに急がないし」
「残念ね。早く夏希の花嫁姿見たいのに」
お母さんがそう言った瞬間、ガタンッと音がした。
テレビを見ながらソファに座っていた義哉が、不機嫌そうに立ち上がったところだった。
そして、私を一瞬だけ見て、リビングから出て行った。
その目は、驚くほど冷たかった。
私は、何かしたのだろうか。
最近、義哉とまともに話していない気がする。
「あんたたち……喧嘩でもしたの?」
義哉がここに来てから、私が話せないことはあっても、義哉が話さないことはなかった。
だから、今の状況がお母さんにとっては不思議なのだろう。
「何もしていないと思うけど……」
私には心当たりがなかった。
なぜ、そんなに怒ったような感じなのか。
唯一、なんとか成立していた会話もなくなってしまった。