願う場所、望む奇跡
「ちょっ、失礼すぎますよっ。だいたい、アナタ誰ですか?」
「自己紹介もされていないのに、あたしが答える訳ないじゃん」
イヤ、悠弥の上をいくんじゃないだろうか。
莉亜さんがここまで言う人だとは……。
まぁ、この女相手だからだろうけど。
夏希だって以前、女に捕まった時の口調ははっきりしていたし。
「なんなの!?義哉くんっ、この人どうにかしてっ」
女が助けを求めてきたけど、俺があんたの味方する訳がない。
「莉亜さん、悠弥から聞いていないですか?」
「悠弥から?聞いていないけど……分かった。理解した」
女と違って理解力があって、話しが早い。
理由があって一緒にいることを分かってくれたらしい。
「夏希先輩、行きましょう。義哉くん、頑張ってね」
可愛くウインクさせて、夏希と共に去った。
結局、夏希はほとんど話さなかった。
なんだか、顔が青ざめているようにも見えた。
体調が悪かったのだろうか。