願う場所、望む奇跡
「ちょっと!お母さんいるってっ」
私の上に被さる義哉をなんとかどかそうとするけど、少しも動かない。
それどころか、手も止まることがない。
だいたい、付き合ってからキス以上のことをしたことがない。
お母さんがいるのだから仕方ないと思った。
だからこそ、宿泊券を使って義哉と一緒に行きたいと思ったのだけど。
まさか、お母さんがいるところで手を出されるとは思っていなかった。
私はもう、声を漏らさないように必死で抑えるしか出来なかった。
「もう少しだけ我慢して。俺、限界なんだ」
そう言って、胸を口に含み舌で転がす。
思わず悲鳴を上げそうになったけれど、なんとか抑えた。
そんな切なそうな声で言われたら、もう何も言えない。
だって、私もこうやって触れて欲しかったから。
でも、お母さんがいるのにそんなこと言えなかった。
「……不安なのは、夏希だけじゃないから」
そんな声が、目の前から聞こえた。