願う場所、望む奇跡
いつの間にか閉じていた目を開けると、困ったような複雑な表情で私を見ている。
「俺だって、所構わず夏希に触れていたい。堂々としていたい。
……でも、無理だって分かっているから。だから、母さんが出張の時とか、たまに遠出したりして触れたい」
そう言って、優しく私の頬に触れる。
そのまま、そっとキスをする。
この言葉だけで、優しいキスだけで、愛されていると実感が持てた。
少しだけ、夢じゃないかと思っていたから。
「覚悟しといてね」
にっこり笑ってそう言った義哉は、満足したのか。
私の服を直していた。
だけど、覚悟に意味が分からず、首を傾げる。
「この宿泊券を使って一緒に行くけど、その時はもう止めないから。2人だから、止める必要もないしね」
一緒に行くことは了承した。
それは分かっているけど、止めないって何を?
「さっきから言っているでしょ。触れたいって」