願う場所、望む奇跡
どうやら、義哉に呼ばれたらしい。
いつもの“姉さん”ではなく、“夏希”と呼ばれたことに驚いた。
それと同時に、心臓が高鳴った。
「いたなら、声かけてくれればいいのに」
女の子の輪から抜けて、私のところまで来てそう言う。
その表情は、さっきまでとは違って優しくにこやかだった。
「だって、他の人もいたから……」
義哉の笑顔を直視出来ず、おどおどした感じで答える。
横目で女の子を見れば、睨みつけるように私を見ている。
学生は私のことを知らないらしいから、彼女たちにとって今の状況は面白くないのだろう。
「あんなヤツら、関係ないんだよ」
そう言う義哉の顔は、酷く冷たかった。
何かあったのだろうか。
「義哉くーん、その女誰なの?」
女の子が甘ったるい声で叫んでいる。
義哉の周りには、こんな子しかいないのだろうか。
甘い声を出せば、誰もが手に入るとでも思っているのだろうか。