願う場所、望む奇跡
電話の話しは、私には分からないことだけど、どうやら間違いないらしい。
「2人が気づいた通り、2人を引き合わせた父、今井直哉が私の実の兄よ。
まさか、こんなに早く亡くなるとは思っていなかったけど……」
寂しそうに笑うお母さんを見て、どれだけお父さんが好きだったのか分かるような気がする。
「今の話しから分かったと思うけど、義哉と過ごしていた直哉は、2人にとっては伯父さんになるわ。
あなたたちの実の父親は、今どこで何をやっているのか分からない。
実家とも疎遠になっているから、両親が生きているのかさえ分からない」
実の父親の話しをされても、向こうもお母さんを好きじゃなかったようだし、私は逢いたいとは思わない。
聞いている限り、性の奴隷としか思っていなかったようで。
父親だなんて思いたくもない。
「逢いたい?」
ふと、お母さんが聞いてきた。
実の父親になのか、祖父母になのか分からないけど、私は首を横に振った。
「ちなみに、義哉と直哉は養子縁組などしていないわ。戸籍はずっと私のとこ。だから、住所もここになっていた。学校に届ける住所は、理由をつけて2人が住んでいたとこにいていたけど」