願う場所、望む奇跡
「出来たから食べようか」
2人で作ったから、思った以上に早く出来た。
母親の手伝いをしているせいか、手際もいい。
今時の男って凄いな、なんて感心してしまった。
それから何事もなく夕食を終え、各自お風呂に入った。
「あ、姉さん」
自分の部屋に戻ろうとしたところ、義哉に呼び止められた。
振り向くと、お風呂上りで髪が濡れていて、やけに色っぽい義哉がそこにいた。
イケメンは、何やっても絵になるんだ、なんて悠長に考えることも出来ない。
目をそらすことも出来ず、耳にはやけに大きい自分の心臓の音が響いている。
「言うの忘れていたけど、明日悠弥と出て来るから。姉さんが帰って来る頃には俺も帰るけど」
義哉がそう言っているのに、私の意識はどこかに飛んでいる。
耳には入っているのだけど、どこか遠くに聞こえる。
全身の血が、体中を駆け巡っているのが分かる。
手を伸ばせば、触れられそうな距離。
触れたいと思うのに、手を伸ばすのは怖い。