願う場所、望む奇跡
そう思っているのに、無意識に体は動く。
ゆっくりと近寄って、そっと手を伸ばす。
「……夏希?」
ズルイと思う。
こんな状況で呼び捨てにするとか。
その上、笑顔で両手を広げている。
それらに、抗うすべを私は持っていない。
私は吸い込まれるように、義哉の胸に収まる。
そして、ギュッと抱きしめられる。
その温もりにドキドキしながらも安心した。
このまま、一緒にいたいと思うほどに…………
って、待って。
私は何をやっているの?
我に返った私は、急いで義哉から離れた。
「あれ?もう終わり?」
涼しい顔してそんなことを言う。
私は、全身が焼けるように熱いのに。
だいたい、私は弟相手に何をやっているのだろう。
無意識に抱きついていた。
「顔が真っ赤だね」