願う場所、望む奇跡
1度離れて十分距離を取ったはずなのに、いつの間にか義哉が近くにいて私の顔を両手で包んでいる。
その上、唇が触れてしまいそうなほど顔が近い。
恥ずかしくてそらしたいのに、両手で押さえられているからそれも出来ない。
言葉にしなくても顔が赤いのは自覚している。
声を発したいけど、唇が震えて上手く言葉にならない。
そのうち、片手が顔から離れて私の腰へいく。
もう片方の手は、顔から頭へ移動され、優しくなでている。
その行為に、また体を預けてしまう。
何も考えられなくなってしまう。
「……夏希は、難しく考えすぎなんだよ。欲望……体の思うままに動けばいい」
全てを分かっているかのような言い方。
そして、またギュッと抱きしめられる。
だけど、私は何も分かっていない。
この状況を頭では分かっているつもりでも、体は動かない。
義哉にされるがまま。
私は、何を考えすぎているのだろう。
義哉と姉弟になったのは、1ヶ月とちょっと前のこと。
まだそれだけしか経っていないのに、義哉は何でも分かっているように言う。