願う場所、望む奇跡
私は分かりやすいのだろうか。
ちょっとだけ、悔しい。
私は何も知らないのに、義哉は知っている。
年も違うから、学校での様子も知らない。
モテ具合だって、社内の子が話しているぐらいのことしか分からない。
彼女がいないと公表しているけど、実際は分からない。
告白してきた子の中にイイ子がいたかもしれないし。
もしかしたら、好きな子がいるかもしれない。
そう思ったら、なんだかモヤモヤしてきた。
それに、胸も痛い。
急な不安にも襲われる。
私は無意識に、義哉の背中に手を回し抱き返していた。
義哉から香る匂いや温もりが、私の不安を消してくれた。
安心出来るこの腕の中。
「頭で考えるより、行動するんだよ。夏希の場合、頭より心が先に分かっているから」
心?
無意識に動いているのが、心からきている行動ということだろうか。
今のこの状況、義哉に抱きついているのは心が思うこと。