願う場所、望む奇跡
……私、何をやっているのだろう。
弟に抱きついたりして、不安になったりして、安心したりして。
頭で分かっていても、離れたくないと思った。
それはつまり、義哉が言うように心での行動なのか。
「夏希、考えすぎ。何も考えずに、このまま身を委ねればいいんだよ」
義哉の優しい声が、耳から脳へ響く。
ごちゃごちゃ考えるより、このままでいいと言われて体の力を抜いてしまう。
「そう、それでいいんだ」
顔を覗き込みながら、優しく悟られる。
整った顔に、私はそっと手を伸ばす。
その手に、義哉の手が触れる。
そして、コツンとおでこ同士がくっつく。
ドキドキが止まらないのに、目がそらせない。
どちらからともなく、自然と唇が近づく……。
――――――――――唇が触れるか触れないかの瞬間、私のポケットに入っていた携帯が鳴りだす。
急なことで、体がビクッと震えて、我に返る。
そして、勢いよく離れてダッシュで自分の部屋に戻った。
その間、義哉を見る余裕なんてなかった。