願う場所、望む奇跡
「連絡するか迷ったんですが……父が亡くなりました」
『……え……?』
そのあと、電話から声が消えた。
よほど、信じられなかったらしい。
『な……亡くなったって、いつ?どうして……?』
消えそうなほど小さく、それでもなんとか聞こえるように声を絞り出していた。
「昨日です。
死因は病死です。このところ、入退院を繰り返していました」
『だから、手紙の返事がなかったのね……』
父もちゃんと返事をしていたらしい。
やっぱり、嫌いで別れたのではないんだ。
「今夜、通夜をして明日、葬儀をします。母さん、来られますか?」
『通夜は行けないけど、葬儀には行くわ。
でも、これだけのこと1人でしたの?』
「いえ、父さんの会社の人に助けてもらいながらしました。親戚関係は分からなかったので」
『そう。親戚は呼ぶ必要ないわ。いないも同然だから』
それについて聞き返そうとしたけど、聞いたところでどうしようもないのでやめた。