願う場所、望む奇跡
「あ、母さん」
『何?』
「……イヤ、何でもないです」
夏希が来るか聞こうと思ってやめた。
明日の楽しみにとっておこうと思った。
『じゃあ、また明日ね。
不謹慎かもしれないけど、明日逢えるのを楽しみにしているわ』
「はい、俺もです」
こうして、父の葬儀で母と夏希と再会した。
夏希を見つけ出してから5年が経っていた。
その時にはもう、自分の中の気持ちに気づいていた。
再会した日、それは確信に変わった。
俺は、実の姉なのに夏希が好きだった。
それを自覚してから、一生1人で生きていくと決めた。
母さんや父さんには悪いけど、結婚はしない。
夏希以外と幸せになるなんて出来なかった。
想いを伝えることだってしない。
夏希は俺のこと好きじゃないだろうし、伝えてしまえば姉弟にも戻れない。
だからと言って、夏希の幸せを願えるほど出来た人間じゃない。