エチュード ~即興家族(アドリブファミリー)~
いくつかの家具は、善のをそのまま持ってきたけど、新たに買ったものもある。
たとえば、キャメル色の皮ばりソファ。
秀一郎のクローゼットや机やベッド。
そして・・・私の布団。

「寝室は別」というのは、私の方から出した条件だ。
最初は「俺らはすでに何度か寝たことあるんだぞ」とか言って、かなり渋っていた善だけど、「だったら結婚は止めましょう」と私が言うと、30秒くらい沈黙して、やっとOKしてくれた。

『期間限定だぞ。それが俺の条件』
『う・・・はぃ。ありがと、善』
『ま、アキちゃんの部屋は、次の子ども部屋にすりゃいいしなっ』
『ちょっと!そんな先々の話を今して、何気にプレッシャーかけないでよ!』
『あぁ?俺はプレッシャーかけてる気ねえよ?ただアキちゃんを誘惑してるだけだしー』
『な・・・もぅ・・・』

そのときの会話をふと思い出した私の顔に、笑みが浮かんだ。

善はああ言ってくれたけど・・・いつまでこれを続ければいいんだろう。
私はいつまで、続けたいの?

「わかんない・・・わかんないよ・・・」

私はソファにストンと座ると、膝に突っ伏してシクシク泣き出した。
今は泣いてもいい。
ここには誰もいないから・・・。

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