エチュード ~即興家族(アドリブファミリー)~
その日、夜8時前に善は帰ってきた。

両手いっぱいに抱えている袋の中には、ファンのみなさんからいただいた、バレンタインのプレゼントがどっさり入っている。
ライズって本当に人気があるんだなぁと、他人事のように思っている私がここにいる。
その私は、あのライズの、ドラマーのゼンと結婚してるなんて・・・。

「どうした、アキちゃん」
「えっ?いや、ううん・・・何でもない」
「あ、そ」

こういう・・・会話が続かないのは、いつものこと。
正直言って、何を話したらいいのか・・・。
仮に、私が一日したことを話しても、やっぱり会話は続かないだろうし。

私はため息をつくと、自分の部屋へ行った。

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