HALF MOON STORY
視界が涙でぼやける
えーい
これは酔ってるからだ
蘭に見られたくない私は
蘭の目線から
自分の顔を見えないようにする
「愛果泣いてるでしょ」
わーん
友達ってどうしてこんなに
いじわるなの
「蘭の意地悪」
そう言いながら
涙を自覚すると止められなかった
そこへメールが入った
ハルからだった
スタジオからの写真付き
「東京着いた
愛果泣いてない?」
ちょっとイタズラ顔の
ハルの写真
以前ホワイトデーに
一緒に演奏してくれた人と
映っていた
画面を確認していると
横から蘭が覗きこんだ
メッセージを確認すると
スマホに向かってしゃべりだす
「はーい、ここで泣いてますよ」
それを聞いたら
なんだか笑えた
涙を右腕で拭うと
私は蘭に気にせず
返事を書いた
蘭はトイレへと
立ち上がった
「蘭と飲んでます
楽しいよ」
ワインのボトルの写真を
付けておこうっと
送信ボタンを押して
スマホを机の上に置いた
空になったグラスに
ワインを注ぐ
今日はこれで終わりにしなきゃ
最後の一杯をゆっくり味わう
そうしながら
私は初めて自分の未来について
考え始めた
目の前の現実に追いつて行くのが
やっとだった自分
そんな自分に今
なんだかイライラしている