HALF MOON STORY



そこへ蘭が戻ってきて



私の前へ座る



何も言わず、空になった



蘭のワイングラスを



私に差し出した



注いで欲しいと




顎で指示する



仕方ないな




今夜こうして一緒にいてくれる



お礼だ



私はそのグラスにワインを注いだ



「これで最後にしなきゃね」



同じ事を思ったのが可笑しくて



笑った





二人で味わいながら



今度は私の反撃だ



「蘭こそ大切な圭介くんを



ほっておいて大丈夫ですか



あいつ案外モテるから



ほっとくと



他の女に取られるかもよ



そういうことにすごく



鈍感そうだもん」



酔っ払いの戯言だからね



そんな顔で蘭を見た



「知ってる、でも今日は特別



たまには



女同志で飲みたい時だってあるもん」




子供ですか



突っ込みたかったけど



やめた



自分も同じだから



「そんな事くらいで



別の女に取られるくらいなら



その女にくれてやる」



そう息巻く



「そんな男も要らない」


私は頷いた



いつかそんな人に出会えたらいいな



そう思った



自分だけを愛してくれる人



そして自分もそう思える人に



めぐり逢いたいな



「私さ、結婚する前は



前の旦那さんに色々してもらった



でも、結婚したら途端に変わっちゃった



釣った魚には餌やらないって



言われたことあるよ



冗談だと思ってたけど



本当だった」



蘭がおんぷを見ながら言う



「彼が私にハルくんみたいに



おんぷをくれたら



ここにはいなかったかも」



そう言って笑う























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