HALF MOON STORY
「愛果、東京に行けばいいんだよ
東京なんて近いんだからさ
夜行バスなんて安いし」
そう言って
私の肩をポンと叩いた
「なんて、本当は
一緒に来いなんて言われてるんじゃないの」
そう言って顔を覗いてくる
からかいたくて
うずうずしている顔だ
「実は言われた」
最後の一口を残して
ワインを口に流し込みながら
その言葉を聞くと
蘭は驚いた顔をして
ワインを吹き出しそうになった
なんとか耐えてワインを
喉に流し込むと
「ええーっ」
と驚いた
「うん、でもハルはさ
一緒に行こうって言った
私、すぐに帰ってくると
思ってたんだよね」
蘭が慌てて
私の前で姿勢を正す
「それって、そういう意味なんじゃ
ないの」
私は頭を抱えた
「良く判んない」
私はまたしても
泣きそうになった
酔っ払いだからだよ
多分
そうしておきたい
なんかお気楽な自分にちょっと
嫌気がさす
私、こんなに憶病な女のコだったっけ
正直怖いのだ
東京へ行って
もし、ハルが私のこと
受け入れてくれなかったら
どうしよう
上手くいかなかったら
色んな気持ちが駆け巡る
一番厄介なのは
ハルのことが
大好きだという事だ
多分、そんな態度を取られたら
今の私は立ち直ること出来ない
その自信なら物凄く
ある
そう思ったら
涙がまた溢れてきた
ハルに逢いたい私
なんだか憶病な自分
二つの気持ちが心の中で
渦を巻き
私を増々憶病にした
身動きが取れないほどに