HALF MOON STORY
そんな私を見て
蘭は何も言わず
私の横に来ると
肩を抱いてくれた
私は安心して泣くことができた
「困った甘えんぼさんですねえ」
ひとしきり泣いて
泣き止んだ私を見てそう言った
「学生時代、男の人にだって
平気で文句言ってた
愛果さんは
何処に行ってしまったのかなぁ」
そう言って笑う
涙を拭いながら
その言葉に笑いがこぼれる
「大丈夫、泣いたら
スッキリしたわ」
ティッシュを一枚取り出し
鼻をかむ
「どうしたらいいか
全然わかんないよ」
ちょっと弱音を吐いてみる
「愛果の人生だから
愛果が決めなきゃ」
うー、と唸る私
すると、今度は
蘭のカバンの中の
スマホの呼び出し音が
鳴った
蘭がスマホを取り出し
電話にでる
圭介からみたいだ
蘭が楽しそうに話を始めた
「愛果の部屋だよ
愛果、ハルくんが
すごーく恋しくて
泣いてるんだ」
う、耳が痛い
「でしょ、愛果らしく
ないでしょ」
そう言って笑った
何とでも言ってなさい
事実だもん
「そういう訳で
今夜はここに泊まるね
愛果に変わるわ」
そう言ってスマホを持たされた
私は圭介に挨拶をすると
とりあえず謝る
「ごめん、お宅の奥様
今夜借りたいわ」
圭介は笑って
「蘭に旨いもの食べさせて
やれば、大丈夫だよ
元気になれよ」
そう言って電話を切った
そんな会話が嬉しかった
二人ともありがとう
その夜は蘭と並んで寝た
難しいことは
明日考えよ
大切な気持ち
絶対
無くしたくないから