銀座のホステスには、秘密がある
ローラママの言葉通り、平日だって言うのに、金曜日並みの人の多さ。
いつもゆっくりしてくくーさんも、早々に帰ってしまわれた。
今日はお祝だから、しょうがない。

「サラさん。おかげでモンテカルロに入れてもらえました。ありがとうございました」

ちょっとの隙をぬって、彩乃さんがアタシに声を掛けに来た。

「良かったですね。おめでとうございます」
「そんな。サラさんはお姉さんなんだから敬語はやめてください。じゃ、戻りますね」

うちの店では、新人は教育係の人を『お姉さん』と呼んだりする。
お笑い業界と同じだ。

「サラさん。8番テーブルにお願いします」
「はい」
「ご新規の指名で、上杉様とおっしゃる方です」
「上杉様?」

ゴンちゃんに首をひねって答える。
ゴンちゃんは笑って肯いた。
じゃ、ゴンちゃんの知ってる人?

フロアを横切る時にチラリと見えたのは、一人忙しそうな彩乃さん。
アタシがお姉さんでも教えることは何もないと思うんだけど。

ま、今日はお祝いだから、頑張れ。

「サラでございます」
「おー。俺だ。覚えてるか?」
「あ!毘沙門天先生!」

8番テーブルには毘沙門天先生と他にもうお一人いらしてた。
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