銀座のホステスには、秘密がある
キャプテン末永が戻ると、途端に明るいキャラになって笑わせようとする上杉様。
この人、大丈夫なんだろうか?
あんまり無理させちゃいけないような気がして、
「では、アタシが一発芸をやります!」
バカなことを言ってしまった。

「やれやれ~」

どうしよう。
言った手前、何かやらなきゃ。
でも盛り上げる一発芸なんて持ってない。

そうだ。
この前クラブ龍太郎で龍太郎ママが物真似して、すごいウケてた。

「では、物真似を……」
「お?誰だ?」
誰?
誰のマネ?

「サラさん。そんなことまでできるんですか?さすがです」

ハナちゃんが目をキラキラさせている。
もうできないなんて言えない……

「あの……じゃ、始発の時の駅員さんのアナウンスを……」

『お待たせいたしました。東京メトロ丸の内線をご利用いただきましてありがとうございます。この電車は霞が関・赤坂見附……」

あ、引かれてる。

シンとなるフロア。
やってしまった。
頭の中が、もう真っ白……

「あはは……おまえ、それマイナーすぎるだろ」

そんな中、上杉様だけ大笑いしてる。
「おもしれ~。微妙に違うんだよな。末永さん、メトロのアナウンスって全線ちょっとずつ違うんですよ。サラ、意外と面白いなおまえ」

「でも、オタクしか気付かねーよ」とツボってるように笑う上杉様に、
「サラさん、そんなことまで知ってるなんてさすがです」訳わかんないことで尊敬してくるハナちゃん。
それに釣られるかのように「こんな美人がオタクだなんて……」と笑い出した末永様。

上杉様のおかげでなんとか助かった。
恥ずかしくて死にそうだったけど、良かったとしよう。

ありがとう殿。
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