銀座のホステスには、秘密がある
「ここでいいかしら?」

アメリカンな雰囲気のダーツバー。
あかねママがこんなとこ知ってるなんてちょっと驚き。

「何飲む?」
「あ、あかねママは?」
「あたしはコーヒーよ」
「じゃ、アタシも」
「いいの?」
それに頷くと。
「二つ」
ってママは慣れた感じで背の高い店員さんに注文した。

あれ?
今、何をって言わなかったよね?

「ママ。この店良く来るの?」
「まぁね」

何か隠してる。
そんな言い方だった。
女の勘ってやつかしら。

じっとママの顔を見てると、
「旦那よ」
ママがアタシの方を見ないで言った。

「え?あのマスターが?」
「そう」
「ママの?」
「…そう」
「スポンサーって意味の?」
「違うわよ。お金は持ってないわよ」
「えー?ママ。結婚してたの?」

照れるように髪を直すママ。
「内緒よ」
なんて言いながら、慣れた様子でお砂糖とミルクの置かれたトレーをアタシの前に置いてくれてる。

「知らなかった」
「当たり前じゃない。秘密なんだもん」

いつの間に?とか、どうやって?とかいろいろ思ったけど、
「おめでとうございます」
とりあえずお祝いは言わなきゃ。

「ありがとうございます」
答えたのは背の高いマスター。
あかねママは、
「それよりサラの話って何なのよ」
どう見ても照れて話を逸らしたって感じ。

それどころじゃないってのに、
「早く話しなさいよ」って、まるで自分のことは詮索されたくないような言い方。

「じゃ、先にアタシから話すから、ママのことも教えてよ」
< 65 / 222 >

この作品をシェア

pagetop