シークレットガール!【完】




****


バンッ。


壊れると思えるような音をたて、扉を開けた。



「はぁっ、………はぁっ」



息切れが苦しい。


「なんだお前。ダッシュして帰ってきたのか?走るなと言ってあるだろーか」


煩いな優季クン。姑か。


けど、そんなのどうでもいい。


助けて助けて助けて。


「ゆ、うき……ッ」


あたしはローファーを脱ぎ捨て、目の前の優季に抱きついた。


「ちょっ、……なっ」


急にあたしの体重が乗っかったので、バランスを崩した優季はあたしと共にその場に倒れこむ。


ドンッと痛々しい音がしたけど、あとで謝ればいいや。


優季は優しいから。許してくれる。察してくれる。


「ってぇ、……。美沙、どうした?」


ほら、やっぱり、許してくれた。察してくれた。


「あたしっ、…………あた、しっ」


ぽつぽつと止まることを知らないあたしの涙。


何を言えばいいのだろうか。


お母さんのこと、言ったから慰めて?


バカを言え。もう存分、慰めてもらったよ。


もう優季もボキャブラリー尽きてるよ。


ただ、あたしは。


「そばにいて…っ」


優季がそばにいてほしいだけだ。


「………はぁ」


深く溜め息をついた優季。


「あ、きれた…?嫌いになっ、た…?」


やだやだやだやだ。


「ごめんごめんっ嫌いに…っ、ならないで…っ」


あたしには優季しかいないから。


誰もあたしのことは知らないから。


優季しかあたしを知ってる人はいないから。


嫌われたくない。


ぽん、と優しく頭に乗る彼の手。


「バァーカ。嫌いになるわけねぇだろ」


「………っ」


ぐっと出てくる感情を抑える。


「優季優季っ………」


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