シークレットガール!【完】
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バンッ。
壊れると思えるような音をたて、扉を開けた。
「はぁっ、………はぁっ」
息切れが苦しい。
「なんだお前。ダッシュして帰ってきたのか?走るなと言ってあるだろーか」
煩いな優季クン。姑か。
けど、そんなのどうでもいい。
助けて助けて助けて。
「ゆ、うき……ッ」
あたしはローファーを脱ぎ捨て、目の前の優季に抱きついた。
「ちょっ、……なっ」
急にあたしの体重が乗っかったので、バランスを崩した優季はあたしと共にその場に倒れこむ。
ドンッと痛々しい音がしたけど、あとで謝ればいいや。
優季は優しいから。許してくれる。察してくれる。
「ってぇ、……。美沙、どうした?」
ほら、やっぱり、許してくれた。察してくれた。
「あたしっ、…………あた、しっ」
ぽつぽつと止まることを知らないあたしの涙。
何を言えばいいのだろうか。
お母さんのこと、言ったから慰めて?
バカを言え。もう存分、慰めてもらったよ。
もう優季もボキャブラリー尽きてるよ。
ただ、あたしは。
「そばにいて…っ」
優季がそばにいてほしいだけだ。
「………はぁ」
深く溜め息をついた優季。
「あ、きれた…?嫌いになっ、た…?」
やだやだやだやだ。
「ごめんごめんっ嫌いに…っ、ならないで…っ」
あたしには優季しかいないから。
誰もあたしのことは知らないから。
優季しかあたしを知ってる人はいないから。
嫌われたくない。
ぽん、と優しく頭に乗る彼の手。
「バァーカ。嫌いになるわけねぇだろ」
「………っ」
ぐっと出てくる感情を抑える。
「優季優季っ………」